【FF7】お祭りデートのすゝめ - 1/2

 

『7月7日、ウータイに来れない?』

ユフィからの珍しくシンプルなメールに、ヴィンセントは首を傾げた。
エッジでの一件以来端末を持つようにはなったものの使い方を覚える気が一切ない彼は、受け取ったメールに目は通しても基本的に返信をしない。仲間たちももう慣れたもので、用件はひとまずメールで送りつけ、その後頃合いを見て電話をかけてくる。メールの文面が気になるものであればヴィンセントの電話を取る確率も上がるだろう、ということらしい。
端末は久々の宿屋で充電され、息を吹き返したところだ。そしてメールの日付は二日前、となると。
タイミングを計ったかのように手の中で鳴り響いた電子音に、ヴィンセントは軽く目を見開いた。画面に表示されているのはもちろん、ユフィ・キサラギの名だ。

 

 

「……どうした」
「あっ、やっと出た! 心配したよ~!」

耳元で弾ける明るい声に、ヴィンセントは思わず端末を遠ざけた。これを使うには、彼は少々耳が良すぎるのだ。

「アタシのメール見てくれた?」
「一応は」
「なんか声遠い! どう、来れそう?」
「私に何をさせたいのかによる」
「正直すぎてムカつく! あのさ、お祭りがあるんだよ。ほら前に教えたでしょ、七夕」
「……ベガとアルタイルの話か」

たなばた、という不思議な語感のウータイ語が示す逸話をユフィに教えられた時のことを、確かにヴィンセントは覚えていた。あれはまだ旅の最中だった。

「お祭りを案内したげるって約束したじゃん」
「約束はしていない」
「しーたーの! アタシはそのつもりだったの!」

電話の向こうでユフィが地団駄を踏む姿が見えるようだった。ヴィンセントの表情は無意識に和らいだが、続く言葉にすぐさま眉間が険しくなる。

「じゃあ七月七日だからね。待ってるから!」
「待て、行くとは」
「来ーるーの! じゃなきゃユフィちゃんはかわいそうにお祭りの一日を待ちぼうけで過ごすハメになります~! わかったね!」

叫びとともに一方的に切られた電話を見つめ、ヴィンセントは今度こそため息をついた。
仲間とは言え、何もこんな不愛想な男まで誘わなくてもいいだろうに。

特に予定や不都合があるわけではない、が。

星空の下で、何でもないように未来を語ったユフィの笑顔が思い出される。
思わず目をやった窓の外の曇り空を、ヴィンセントは少し残念に思った。

 

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