【FF7】VYアドベントカレンダー 12/13~12/18 - 7/7

18.ダサセーター

 

「ストライフ・デリバリーサービスだ。ここにサインをくれ」

ぶっきらぼうにそれだけ言って去っていったクラウドが置いて行ったのは、軽いがまあまあかさばるサイズの箱だった。ピザの箱を三段重ねたくらいの大きさだ。あて先はヴィンセント・ヴァレンタイン、送り主はシド・ハイウインドとある。

「…………」

ヴィンセントはむっつりとその送り状を睨んだ。正直、開けたくない。嫌な予感が漂いまくっている。
直感に従って放置されたその箱を救ったのは、夜になってからやってきたユフィだった。彼女はヴィンセントの部屋に入るなり「シドからなんか届いたでしょ」と言い放ったのだ。なぜわかったのかと無言で眉間にしわを寄せたヴィンセントに、彼女は携帯のメッセージアプリを突き付ける。

「アンタたぶん開けないだろうから代わりに開けてやれって、シドが」
「余計なことを」
「それどっちに言ってるの。アタシ? それともシド?
「……シドだ」

言葉のわずかな間を正しく理解したユフィが伸びあがってヴィンセントの鼻をぎゅっとつまむ。

「はーいオシオキ」
「ぐっ」

鼻をさするヴィンセントをよそに、ユフィは見つけ出した件の箱の包装をばりばりと解いた。

「うっわ、ダサッ!」

そして開けるなり爆笑し始める。上から覗き込んだヴィンセントが何事かと眉をひそめた。
箱の中に入っていたのは真っ赤なセーターだった。ツリーやトナカイといったクリスマス向けの柄が所狭しと過剰に編み込まれた、ヴィンセントがいまだかつて見たことがないほどに悪趣味なものだ。

「アグリーセーターか」
「なんだ、知ってるの」

笑いすぎて目尻に涙まで浮かべたユフィが、笑顔のまま残念そうに言う。ヴィンセントはため息をついた。

「着ないぞ」
「えー、せっかくのプレゼントなのに?」
「コスタのシャツの方がまだマシだ」

ヴィンセントがいつぞやコスタ・デル・ソルでシドから押し付けられたド派手な南国柄のアロハシャツは、それでもシャツだけを見れば全くまともな代物だった。セーターだけ見てもダサさに震えが来そうなこれとは、根本的に存在意義が違う。
ヴィンセントとセーターを見比べてはひぃひぃと笑い続けるユフィの額を小突き、ヴィンセントはどさりとソファに座りこんだ。拾い上げた『Merry Christmas!』とだけ走り書きされたカードを、忌々しそうに手の中で弄ぶ。

「この柄で、素材は良いものらしいところがさらにイラっとする」
「あーやっぱり? なにげに高そうだと思ってた。シドってば変なとこに気合入れすぎ!」

シエラさんに言いつけてやろー、と言って携帯を取り出したユフィがさっとカメラモードを構えた。ヴィンセントはとっさにシドのクリスマスカードをレンズに向かって投げつける。ユフィのシャッターはひらりと舞ったカードだけを画面いっぱいに捉えて、ぱしゃりと音を立てた。

「あーっ」
「諦めろ」

ヴィンセントがため息とともに告げれば、ユフィはしぶしぶながらもカメラモードを解除した。さすがに、ヴィンセントが本当に嫌がっているのを察したのだろう。

「だがシエラには報告しておいてくれ」
「あっはは、りょーかい」

ヴィンセントの要請を受けて、笑いをぶり返しながらもユフィが器用にメッセージを入力し始める。
シドのことだから恐らく他の男どもにも同様の物を送っているはずだ。
あのおっとりとした女性にシドが絞られる光景を想像して、ヴィンセントはひそかに留飲を下げたのだった。

 

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