【FF7】VYワードパレット 01~06 - 1/6

 

お題元 > 『文字書きワードパレット 弐』@Wisteria_Sakiさま

 

01.イズディヤード(成長/アラビア) 祝う・階段・足踏み

 

新年の到来を祝うウータイの町は、どこもかしこも浮かれたような賑わいに包まれていた。
晴れ渡った空のもと、伝統的な晴れ着に身を包んだ人々が、藁で編まれた巨大な縄やカラフルな玉で飾られた枝といった独特な飾り物の下で楽し気に挨拶を交わしている。
ホリデーよりもニューイヤーを重視する土地柄だと聞いてはいたが、実際に目にしたその規模にヴィンセントは驚かされた。ウータイ語では新年の節目を『迎える』と表現するが、ただ待ち受けるのではなく、並々ならぬ気合でもって歓待しているようだ。
ユフィが以前話した年末大掃除という概念を、雪国生まれのヴィンセントは合理的な意味でつい否定したものだが、今この土地においては彼女が正しかったのだとわかる。大事な客を迎えるにあたって掃除は必須に違いない。飾り付けも、豪華な食事の用意もだ。
ヴィンセントがかつてウータイ語を学んだのは、それが敵国の言葉であり、調査課という後ろ暗い仕事のために必要だったからだ。似た理由で修めた他の言語も含め、ヴィンセントにとってはそれなりに扱えるものの特に思い入れもない、ただの知識の一つに過ぎなかった。
だがこうして平和なウータイの文化に触れたことで、丸暗記の知識でしかなかった言葉のつくりがこうして突然腑に落ち、生きた経験へと変わる。言葉は土地を映すものだ。その理解はこれまでの見方を塗り変え、また喜びにもなるのだと、ヴィンセントはようやく気が付いた。

――フィールドワークを愛した父親の血を、自分もしっかり受け継いでいたらしい。

だがあのように家に居つかない父親にはなりたくないなと思いながら、ヴィンセントは石畳の先に目をやった。本山の鳥居へ通じる階段の下で、美しい着物に身を包んだユフィが待っている。落ち着きなく軽い足踏みをしているのは、急いでいるのか、それとも寒いからか。いずれにせよ、これ以上待たせるのは得策ではないだろう。
コートをひらめかせ、ヴィンセントは足を速めた。

 

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