【FF7】VYワードパレット 01~06 - 3/6

03.レヒトラオート(また会いましょう/ヘブライ) 揺れる・栞・手のひら

 

見送りに来てくれたウータイの面々にさんざん手を振ったあと、二人はシエラ号の客室に入り、土産物で倍にも膨らんだ荷物をなんとか固定して一息をついた。

「あーあ、お休みってあっという間だ~」
「なぜこうも体感速度が違うのだろうな」
「ホントにそう!」

広げればベッドを兼ねるタイプのソファに、勢いよくユフィが腰掛ける。
ウータイで過ごす正月を終えれば、次に待つのはエッジでの仕事の日々だ。ヴィンセントとユフィというWROきっての英雄二人が揃って長期休暇を取っていた影響ははたしてどれほどのものだろう。あまりその辺りを想像したくはない二人の会話は、今朝からまるで現実逃避のような話題ばかりだった。
この部屋は客室とされているだけあって、珍しく小さな二重窓があった。そこから見下ろせるのは、WROの協力で新設されたばかりの飛空艇発着場だ。まだ新しいコンクリートの上での搬入作業を終えたらしきクルーたちが、ばらばらと飛空艇へ戻ってきている。

「終わったようだ。そろそろ出発ではないか」
「うぇぇ~」

ユフィは途端渋い顔になる。酔い止めは既に飲んでいたが、それでまったく無事とはいかないことは既に往路で学んでいた。

「ヴィンセント、ここ座って!」

ユフィがソファの端を指さす。ヴィンセントは壁に掛けたコートのポケットから文庫本を取り出すと、それを持って大人しく指示された場所に腰かけた。備え付けの毛布をかぶったユフィが、その太腿にぼすりと頭を乗せて横になる。
ヴィンセントの硬い膝枕が心地よいものとは到底思えないのだが、ユフィ本人が毎回これを要求してくるのだから仕方がなかった。

「あんまり揺れませんよーにっ! ヴィン、スリプルして」

ぎゅっと目を瞑ったユフィが言う。
ヴィンセントがそっとスリプルを唱えると、抵抗する気のないユフィは瞬く間に眠りに落ちた。ここからは暇を潰しながら適宜スリプルをかけ直すのがヴィンセントの仕事だ。
ユフィの華奢な肩まで毛布を引き上げ、そこに片手の手のひらを置いたまま、ヴィンセントはもう片手に文庫本を持つ。往路から読んでいたものだが、おそらく栞の位置はあまり変わらないことだろう。
回転数を上げ始めるエンジン音を聞きながら、ヴィンセントはページを開いた。

 

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