【FF7】VYワードパレット 01~06 - 4/6

04.アンシャンテ(会えて嬉しいです/フランス) 呼ぶ・青い・指先

 

『艇を降りる前に顔を見せろ』と、シドからメールが届いていた。
ヴィンセントとしても勿論やぶさかではないのだが、問題はユフィが船酔い対策で寝てしまっていることだ。比較的シドの手が空きそうな安定飛行中はユフィが動けず、その枕と化しているヴィンセントも同様だった。ジュノンへの寄港中には当然物資の搬出入作業があるため、忙しいブリッジに部外者が顔を出すのは避けた方が無難だろう。あとの機会は、エッジへ到着する前にユフィを早めに起こすくらいか――などと考えていると、ドアに付属するブザーが鳴った。
ヴィンセントが目をやった瞬間ドアロックは勝手に開錠され、自動ドアはあっさりと開く。
カードキーを手にしたフライトジャケットの男が、ヴィンセントを見てにやりと笑った。

「よぉヴィンセント。すっかりイチャついてやがるな」
「そう見えるか」
「少なくとも、ユフィの方はそのつもりだろうよ」

シドは静かに室内へ滑り込み、ドアを閉めた。そのまま備え付けの椅子を引きずり出す彼をよそに、ヴィンセントは無言でユフィにスリプルをかけ直す。

「で、どうだったんだよ」
「……了承は得た」
「へーえ!」

シドがわざわざ仕事を抜け出してまで『顔を見に』来た理由を悟り、ヴィンセントは小さなため息をついた。

「揉めたか?」
「以前にも言ったが、ゴドー殿は密偵ニンジャの総元締めだ。大抵の事情はとうに知られていた」
「大抵、ねぇ」
「エッジでの暮らしぶりについてもだ。……もう反対できるような段階ではあるまいと言われたよ」
「既成事実ってか……。そりゃ小娘の方が上手うわてだったって言っていいのか?」

眉根を寄せて眠るユフィを見やり、シドはぼやくように呟いた。ヴィンセントの指先がそっと彼女の眉間を撫でる、その情愛に満ちた仕草に青い目を細める。

「ま、何にせよめでたいこった。祝杯上げねぇとなあ?」
「明日から仕事が山積みの予定だ。しばらくは勘弁してくれ」

言葉とは裏腹に、ヴィンセントの声音はどこか気安い。
気の置けない者同士の会話は、シドが携帯で呼び出されるまで続いたのだった。

 

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