3.冬着
ユフィがこの冬ゲットした新しいルームウェアは、とあるルームウェア専門ショップのものだ。
淡いブルーと白のストライプ模様の上下は見た目がかわいいのはもちろん、もこもこした生地の肌触りがすばらしく、一度着るともう手放せない着心地だ。さすが専門ショップの物だけある。
「ずいぶん気に入っているな」
「だって気持ちいいんだもん」
陽の当たるぽかぽかのリビングで、ユフィはだらしなくソファにごろ寝している。同じソファにこちらはきっちりと身を起こして座っているヴィンセントの腿の上を、もこもこに包まれた脚が横切る格好だ。
「ヴィンセントも買えばいいのに、これ」
ユフィにそう言われたヴィンセントの咄嗟の想像が、揃いのストライプのもこもこであったのは仕方のないことだろう。いつもの無表情を何とも言えないかたちに歪めた彼を見、ユフィはたまらず笑いだす。
「アハハ、いやさすがに同じデザインじゃなくってさあ!」
「笑うほどか」
「いや似合わないから笑ってるわけじゃ、あはははは!」
ひとしきり笑い転げたユフィは、あーおかしい、とぼやきながら腹筋を使って跳ね起きた。
「もーほら、拗ねないのー!」
「拗ねてはいない」
「じゃあなに、傷ついちゃった? ゴメンてば」
実のところ、ユフィが笑っている限りヴィンセントの機嫌はさほど下降しない。今に限ればそもそも機嫌を損ねてすらいなかった。ヴィンセントはただ自分が想像してしまったものに驚いていただけである。
「たぶん黒とかもさあ、あると思うよ? あ、コレはアンタが買ってくれたんだから、お返しにアタシが買ってあげよっか?」
知ってか知らずか、ユフィはご機嫌取りのつもりでそんな発言をした。
「遠慮しておく」
「わあっ!」
とたん、視界がひっくり返される。ユフィは天井を眺めて目を瞬いた。
脚を、脚で抱え込まれている。腹の辺りに回された両腕。そして肩口、いや脇のあたりにぐりぐりと居場所を確保しようとする黒髪の頭。
つまり座っていたヴィンセントがそのまま横へと倒れ込み、ついでにユフィを巻き込んでいる。
「私の抱き枕が着ていれば、それで充分だ」
「もお、ヴィンセント!」
小さなソファーでぎゅうぎゅう詰めに寝そべり笑い合った二人は、ぽかぽかとした日差しの中で、やがてしばしの微睡みに落ちていった。
